関東財務局長(金商) 第2654号
一般社団法人日本投資顧問業協会 第012-02597号
投資日記をつける その意味
私は定期的に過去に自分がどんな助言をしたのか振り返っています。
通常の個人投資家にとってはそれが日記になります。
毎日、自分の相場観をメール配信していますがそれが日記代わりになっている訳です。
上がっている時、下がっている時、一体自分がその先の相場をどう見ているのか、
何を上昇要因とし、何を下落要因としてみていたのか、それらが詳らかに書いてあります。
そうすると、自分の傾向が良く分かります。
プロスペクト理論という意思決定モデルによると、
人間は目の前に利益があると、利益が手に入らないというリスクの回避を優先し、
損失を目の前にすると、損失そのものを回避しようとする傾向(損失回避性)があるそうです。
これは良く分かります。私の知人に「勝ちさえすればいい」という口癖のある人がいました。
しかし、人間は利益を得たときと損失を被ったとき、どちらの記憶が強く残るかというと、
損失を被ったときの記憶の方が強く残る傾向があることも明らかになっています。
つまり、同じ利益と同じ損失を同回数経験した場合、損失の記憶の方が残るわけです。
勝っている人ほど投資はキツいと言いますがそれが良く分かります。
伝説の個人投資家BNFさんは正にそんな感じでしたし、
ウォーレン・バフェットも投資に一番必要なのは“忍耐”だと言っています。
話がそれましたが、投資やトレードは人間の本能通りに売買していては勝てないようになっています。
プロスペクト理論の逆をやるということは、目の前に利益があってもそれをすぐに利益確定せず我慢。
損失は回避せずにある程度の所で確定させよ、ということになります。
なかなか難しいことですが、私はそれを常に意識しています。
値動きに流されず、それを意識できているのか確認する為にも日記は有効です。
日経平均が高値を付ける直前の10月2日大引け後のあかつきコースでの私のコメントを見てみたいと思います。
「短期的な過熱感もあって流石に上値は重かったものの、
ここ数日の上昇と外部環境を考えると堅調といって差し支えない相場です。
外部環境ですが、お昼の時点で1.3%程度の下落だった香港ハンセン指数は午後下げ幅を拡大、
2.54%の大幅安となっています。
韓国、台湾も1.2%の下げとなっておりアジア市場は軟調。
先日はイタリア株安、きょうはアジア株安ですが意に介さず高止まりしている日経平均。
きょうの東証一部売買代金は3兆円を超えましたが、まだ仕掛け的な買いが続いているようです。
一部関係者はこの独歩高ともいえる動きを
「出遅れている日本株の見直し買い、実需買いの動き」と評していますが、鵜呑みに出来ないですね。
米株安か円高にならないと下げそうにないような雰囲気ですが、こういうムードはいとも容易く一変します。
先物に入っている買いを見ても切っ掛け次第で手のひらを返してくる可能性があると見ておくべきでしょう。
なお、先週発表された前々週の投資主体別売買動向で、
海外投資家が先物を1兆2000億円超買い越していたことはお伝えしました。
もう一点、気になったのが自己部門の現物買い、先物売りです。
自己部門が9000億円近く現物を買い、それを超える先物を売っていました。
現先合算では約700億円の売り越しでしたが、自己部門がこれだけ大きく現物を買うのは珍しいです。
現物を買ったということは配当狙いの買いが入ったのかも知れません。
年金か機関投資家か分かりませんが、特異な買いを入れたようです。
それに海外投資家が乗っかってこの突飛高になったと見るべきでしょう。」
・・・一部抜粋となりますが、かなり警戒していたことが良く分かります。
こうして、大事な局面で自分がどう見ていたのか、何を見逃していたのか、
確認を続けるうちに客観性や、ブレない指針のようなものを持てるようになりました。
当然、曲がるときは曲がりますが、その時も何を見逃していたのかしっかり確認するようにしています。
短期的な相場の動きはランダム性が高く、読み切ることなどまず不可能です。
古典的なテクニカル分析で短期的な相場の動きを読めるのなら、負ける人などいません。
自分の相場観や感情をしっかり記録し確認することをお勧めします。
暁投資顧問 平下
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