関東財務局長(金商) 第2654号
一般社団法人日本投資顧問業協会 第012-02597号
大手情報ベンダーのブルームバーグは4月頃から日銀のETF買いによる副作用の懸念を伝えてきました。
ETF爆買いの果て、日銀が日経平均企業9割で実質大株主-試算
大株主「日銀」、17年末に日経平均4分の1で筆頭-ETF増功罪
そして29日、日経新聞が朝刊1面で日銀とGPIFによる副作用への懸念を報じました。
東証1部企業の4社に1社、公的マネーが筆頭株主 市場機能低下も
昨年から海外投資家は如実に日本株を売り越してきていますが、
海外投資家の売りをGPIFと日銀がせっせと買い集めている・・・それが昨夏~1年間の日本株市場の実態です。
もう少し細かく言うなら個人投資家も売り越しですから、海外投資家と個人投資家の売りをGPIFと日銀、
そして企業の自社株買いが吸収している、それが今の日本株と言えます。
この状況を見て私が思い出すのは2015年1月にあったスイスフラン暴騰です。
事の発端は2011年9月にスイス国立銀行が1ユーロ=1.20フランを最低為替レートとして設定し、それを下回る水準は容認しないと発表。それを下回った場合は無制限に介入するとしたことでした。
これが単なる口先介入ではなく、実際に介入が行われたこともあって、ユーロ/スイスフランは1.10フランから1.20フラン台まで、1000ポイント以上上昇しました。
その後のユーロ高スイスフラン安は限定的で1ユーロ=1.26フラン辺りが精一杯。
尤も、無制限介入があるわけですから1ユーロ=1.20フラン以下にはなかなかさがりません。
結果的にユーロ/スイスフランはスイス国立銀行が介入を発表した2011年9月から2015年12月まで、1ユーロ=1.20フランから1ユーロ=1.26フランの狭いレンジでもみ合いが続きました。
しかし、2015年1月にスイス国立銀行は無制限の介入は無理だと諦め、最低為替レートを撤廃。
これを受けて、ユーロ/スイスフランは1ユーロ=1.20フランから1ユーロ=0.84フランまで暴落(スイスフラン暴騰)。
スイス国立銀行の介入でユーロ/スイスフランは3年3ヶ月弱、一定の水準を保つことが出来ましたが、最後は市場の摂理に屈しました。
結局、人為的な介入で相場を長期的に下支えするのは不可能だということですね。
興味深いのは、2011年9月にスイス国立銀行が介入を発表した後のユーロ/スイスフランの上昇が限定的だったということです。
上値を買わない介入は所詮、下支えにしかなりません。
なお、GPIFは26日に、2016年4-6月期の運用収益が5兆2342億円の赤字だったと発表しました。
GPIFの日本株運用比率アップと日銀のETF買いを買い材料視する声も多いですが、私は株式市場の健全性を歪め、将来の年金に対する国民の不安感情を煽る愚策だと思います。
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