関東財務局長(金商) 第2654号
一般社団法人日本投資顧問業協会 第012-02597号
中国経済 減速鮮明 その影響
中国経済の減速が鮮明化してきました。
2018年の国内総生産(GDP)の成長率は前年比6.6%で、28年ぶりの低水準。
小売売上高も減少しており、各種指標を見ても良くありません。
中国経済を軽視する方もいますが大発会大幅安の要因になったAppleの決算、
また国内では安川電機、日本電産の決算を見ても、その影響はバカに出来ません。
米中貿易戦争が中国経済悪化の原因と言われていますが、私はそれだけが原因とは思えません。
2015年夏にあったチャイナショック時も中国経済の不振が話題になりましたが、あれからまだ3年しか経っていません。
チャイナショックを復習しようとしたらWikipediaが作られていました。
チャイナショックの前に何が起こったかというと中国株の不自然な急騰でした。
2014年7月から15年5月中旬までに上海総合指数が2.3倍に上昇。
この上昇の背景には2014年末に始動した上海取引所と香港取引所によるA株の相互取引や、
新華社、人民日報など中国メディアによる買い煽りの影響があったとされています。
そして上海総合指数は15年6月に5178ポイントをつけると8月27日には2907ポイントまで急落。
2ヶ月強で約44%の暴落です。(ちなみに日経平均株価が24000円から44%下げると13440円です)
15年6月に上海総合指数が急落をはじめた時、日本では危惧するアナリストや株式評論家は殆どいませんでした。
「誰が見てもバブルだったし当然の調整。実体経済への影響はない。」
こんな論調でした。しかし、8月に中国発世界株安が起こります。その後の低迷はご存知の通り。
この株安に中国政府がどう動いたかというと、上記のWikipediaでは
「資産を担保とした証拠金取引を容認し、証券仲介業者に中国人民銀行の資産で株式を購入することを促した」
と書かれています。Wikipediaには書かれていませんが、このとき中国政府が動かした資金は5兆元と言われています。
今の人民元は1円=約16元ですので80兆円介入したことになります(あくまで憶測ですが)
介入による平均購入単価などは一切分かりませんが、上海総合指数は現在2015年8月の水準を大きく下回っています。
そう考えると今の状況は中国政府にとって際どい状況なのではないでしょうか。
そもそも2015年のチャイナショックの原因は2008年リーマンショック時に中国が行った4兆元の財政出動と言われています。
で、2015年のチャイナショック時には5兆元の介入、人民元切り下げ、
そして積み上がった住宅在庫問題解消のため住宅ローンの貸し出し増額を決定。
さすがにジャブジャブの状況が危惧され、2017年から理財商品の規制強化はじめ引き締めに動いてきましたが、
そこに振ってきたのが米国の制裁関税で、2019年はまた預金準備率引き下げ・・・。
日本同様、財政出動が一時的な経済浮揚効果しか持たないことが如実化してきています。
足元では預金準備率引き下げが好感されていますが、いずれまたその副作用が露呈してくるでしょう。
そもそも、中国経済は米中摩擦が熾烈化する前からリスク山積でした。
今回仮に制裁関税が完全に撤廃され、米中関係が融和に向かったとしても待っているのは茨の道でしょう。
暁投資顧問 平下
最新情報をお届けします